卵巣から卵子の素(もと)で卵子の質を良くする?!
卵は育ってきた卵胞を使うしかなく、良い質の卵かはわかりません。
加齢により、良い卵が排卵する割合が減るため、妊娠率も下がります。
卵の質をよくするというのは、加齢女性と世界中の不妊治療施設の夢であり、様々な研究がされています。
臨床 2015年5月11日(月)配信朝日新聞 から記事を紹介します。
加齢による不妊に悩む女性に対して、本人の卵巣から卵子の素(もと)になる
細胞を取り出し、一部を卵子に移植して若返らせる方法で、初めての赤ちゃんが
生まれた、と米国の企業が発表した。妊娠の可能性が高まるとしているが、効果
や安全性について疑問視する声も上がっている。
発表したのは、米国に本部を置き、世界の不妊治療クリニックに技術提供をし
ている「オバ・サイエンス社」。年齢のわりに卵子の質が悪く、体外受精に何度
も失敗していたカナダの34歳の母親に試みて、男児が生まれたという。
卵子の素になる細胞から、細胞に必要なエネルギーを作るミトコンドリアを
取って発育不良の卵子に移植する方法で「卵子や受精卵の質が悪い人の妊娠率を
上げられた」と説明している。同社によると、カナダでも複数妊娠例があるほか
に、トルコでも27歳から41歳の8人に実施して2人の女性が妊娠したという。
北海道大の石井哲也教授(生命倫理学)は、今回の手法は、効果や安全性に関
する科学的な裏付けが欠けていると指摘する。「生まれてきた子どもへの長期的
な影響も懸念され、認める場合でも臨床試験で慎重に行うべきものだ。安易に取
り入れるクリニックが日本でも出てくれば大きな問題になるだろう」と話す。
卵子の若返りについては、若い第三者の女性から卵子提供を受け、そのミトコ
ンドリアを発育不良の卵子に移植する方法を試みたとする論文が1997年に発
表された。米国で複数の赤ちゃんが生まれたとされる。効果が疑問視されたほ
か、倫理面、安全面での懸念が指摘され、米食品医薬品局(FDA)は研究を凍
結している。(竹石涼子)