男性不妊の研究
当院の男性不妊外来は独協医科大学越谷病院から専門医をお招きして行っています。その独協医大の男性不妊の研究が静岡新聞に取り上げられたので、要約して紹介します。
精子の体外培養開始
独協医大越谷病院は、精子がない男性不妊患者から精巣の一部を採取し、体外で培養して精子に育てる臨床研究を開始した。既に培養を始めている。
研究代表者の岡田弘主任教授(泌尿器科)によると、体外で精巣組織から育てた精子を使った出産は2011年にマウスで成功例があるが、人間での報告はない。今回の研究では精子に育っても破棄するが、将来的には無精子症の不妊患者が子どもを持てる治療法の開発を目指す。
岡田さんは、「精巣を刺激するホルモンを体に投与する治療以外の新たな戦略の1つになり得る。放射線治療などで精巣機能が低下する小児がん患者が、将来自分の子どもを持つ可能性にもつながる」と話す。
臨床研究の対象は、精子の成熟が何らかの原因で止まる無精子症の患者20人。越谷病院では、精液中に精子がない不妊患者の睾丸から精子を見つける目的で精巣組織を取り出す手術を年間約150件行っている。そのうち精子が全くない患者の参加を募り、手術で取り出す組織の約5分の1に当たる50ミリグラムの提供を受ける。培養液入りの皿の寒天に組織を載せ、4~5週間後に精子ができるか評価する。